ボルボ S80 連続でバッテリー上がり
バッテリーが上がりエンジンが始動出来なくなったので、バッテリーを充電後に再度エンジンを始動したが短時間でエンジンが停止してしまった。 再度バッテリーを充電したが、やはり短時間でエンジンが停止し警告灯が点灯してしまう症状のボルボが入庫。
点検すると、エンジン始動中の充電電圧が11.2Vほどしかありません。 バッテリー電圧のみでエンジンが始動している状態です。 オルタネーターを目視で確認すると、プーリーが回転していません。 エンジン側のプーリーも回転していませんが、シャフトは回転しているのが見受けられました。 プーリーが何故か空回りしているようです。
このボルボは直列6気筒エンジンを横向きにマウントしているために、スペースの都合上カムシャフトチェーンや補器類がミッション側に全て集約されています。 オルタネーターはベルトを介して回転させているのですが、タイミングベルトと同じ構造のベルトでカムスプロケットのようなプーリーがオルタネーターとエンジン側に取り付けられており、向かい合ったプーリーを1本のベルトで接続し回転力を伝達する方式です。
空回りの原因を探るべくオルタネーターを取り外すと、エンジン側のプーリーボルトが緩んでいました。 オルタネーター側のプーリーはワンウェイクラッチ方式になっています。 クラッチは錆びにより固着してしまい、クラッチの役割をほぼ果たしていない状態。 アクセルOFF時にエンジン回転は下がろうとしますが、クラッチ機構が損なわれている大出力のオルタネーターの大きな慣性モーメントが抵抗になり、エンジン側のプーリーボルトが緩んでしまったのだと思われます。
オルタネーターのワンウェイクラッチプーリーを交換。 SST必須です。
バキュームポンプからエンジンオイル漏れも発生していたので、シールも同時に交換。
交換後は充電電圧も正常になり、しっかりとオルタネーターが発電するようになりました。 オルタネーター本体に問題が発生していなかったことと、エンジン側プーリーのボルトのねじ山が壊れていなかったのが幸いでした。 ねじ山が壊れてしまっていた場合には、かなり厄介なことになるところでした。