メルセデスベンツ W163 原因不明のエンジン停止トラブル
突然エンストすることがあるという症状のW163。 診断機ではクランクセンサーにエラーが出ていたので、センサーを交換することになりました。
センサーを交換したのですが、交換後エンジンが停止してしまう症状が再発してしまいました。 停止してしまうタイミングはまちまちで、何をどのようにすれば停止してしまうのかがわかりません。 アイドリング中に止まってしまうこともあれば、走行中に突然エンストし数秒で復帰することもあります。 キーシリンダーが緩んでいたので締めたというオーナーの話から、まずはキーシリンダー付近から点検。 鍵を回すと少し抵抗があり、キーオンの状態で鍵を少し動かすとエンジンが停止する症状が一度だけ発生。 キーシリンダーの動きが悪いのが原因かと色々とテストと点検を繰り返しましたが、たまたまだったことが判明。 次の点検に入ります。
エンジンが停止する症状がどの様なときに発生するのか走行テストを繰り返していると、何らかの衝撃があるとエンジンが停止するケースが多いということが分かってきました。 さらに、エンストしている状態では何故かヘッドライトがハイビームで点灯しているということもわかりました。 エンストする症状が直るとヘッドライトも消灯します。 ヘッドライトリレー? 関係なさそうですが、走行中に足元のヘッドライトリレー付近に衝撃を与えるとエンジンが停止。 これか? たまたまかもしれない。
ヘッドライトリレーを分解し、内部を点検。 接点等に問題はありません。 コイルも問題無し。 リレーの台座を取り外して分解し、内部の基盤と銅プレートを点検。 基盤から伸びているヒューズの接点パーツは基盤にハンダ付けされていない仕様だったので、ハンダ盛り付け。 銅プレートの接点は問題有りませんが、念のため全部の接点に接点復活剤を散布。 組み込みます。 さらにMAE、AAEモジュールも取り外し、内部点検。 ハンダの状態が少しでも良くない個所は、全て修理し組み込みました。
その後のテストで、エンジンが停止する症状が現れないので完治したかと思われたのですが、納車前の洗車後にエンジン停止・・・ 愕然としました。 念のためにECUも分解しましたが、目視では問題なさそうです。 エンジンルームのヒューズボックスの過熱ということもありうるので、ヒューズBOX用のファンをテストするも問題無し。 ファンは問題が無くても可能性としてヒューズボックス自体に問題があるかもしれない。 ということで、ヒューズボックスを分解します。
大量のコネクターとヒューズ、リレーを取り外し分解。 銅板が何層にも重なりマンションのような構造をしています。 構造が単純なので、接点としてはリレーとヒューズが触れる個所。 口が開いている個所を全て締め付けて接点復活剤の散布。 組み込みました。 ここまでかなり色々と作業を行ってもエンジンが停止してしまうので、手探り状態の作業ですがやってみなければわからないので、今度こそはと祈るような思いでテストしました。
ついに完治か? 今度は何度テストを行ってもエンジンが停止しなくなりました。 ですが安心できません。 さらにテストを繰り返し停止しないことを確認。 ついに納車することに決定。 今年の3月に納車し、現在までエンジン停止が再発していないとの連絡を受けたので、完治していると思われますが、実際のところ何が原因だったのかは特定出来ていません。 可能性として高いのは最後に作業したエンジンルームのヒューズボックスだと思うのですが、原因が重複している可能性もあるので確定ではありません。 完治はしていますが、気持ちがすっきりしないという整備でした。