BMW E60の整備
エンジンルームからの冷間始動時の異音。
フロントタイヤ付近からまれにゴンゴンという異音。
冷間時の2~3速シフトアップ時に抜けるような感じが一度だけあった。
リアの突き上げ感やふわふわ感が増している。
ウインカーの点灯がまれにおかしい場合がある。
上記の現象が発生しているとは思えないほど状態の良いE60。
オイル漏れ一つなく、クーラントが滲んでいるような跡も見当たりません。
ディーラーでの整備見積はなんと130万円超え・・
可能性として考えられるパーツ交換をすべて行うとこのような価格になってしまうのでしょう。
さすがに高すぎるので、セカンドオピニオン的な点検をして頂きたいとのことで来店されました。
エンジンルームからの冷間時の異音はテスト運転中に感じることが出来なかったのですが、アクセルOFF時のオルタネータープーリーのワンウェイクラッチからの音と、聴診器での診断で気持ちオルタネータープーリーの音・アイドラプーリーの音が気になりましたので これが原因ではないかと思われます。
フロントタイヤからの異音点検は若干タイロッドエンドにガタつきがあり、その他は問題なし。
タイロッドエンド交換で様子を見てもらいます。
その他にフロントタイヤにフラットスポットが発生しており、わだちのある路面で異音が感じられたのでそれも原因の一つではないかと思います。
冷間時のミッションの変速ショックはテストでは発生しませんでした。
すこし強めにアクセルを踏み、3000rpm前後での変速で若干のラグがありますが十分許容範囲。ですがATF交換にて改善されると思うのでATF交換を行います。
リアの突き上げ感は新車当時から比べると当然ショックアブソーバーも劣化しているので もう少し様子を見てもらうことにしました。
セダン車両なのでフロント側から傷んでくるのが 通常ですが、フロントショックも弱ってきているのでその揺り返しも含めて様子を見て今後前後同時交換をされたほうが良いと感じました。
ウィンカーの点灯不具合についてはディーラーにてオルタネーターの発電状況をオシロで確認すると一瞬15Vに到達することがあるようで、それが原因ではないかとのこと。
おそらく一瞬というのはノイズであって、どのオルタネーターにもありえる状況。
もし過充電が続いているならばならば、多くの電子機器が故障しオルタネーター本体からも異常な音が出るはず。 実際にはそのような現象はなくいたって普通に動作しています。
ダイオード破損の場合も異常な音とオシロの波形が常時乱れるので、オルタネーター本体ではないと思います。
こちらは今までに一度しか現象が発生したことがないとのことですので様子を見てもらうことにしました。
オーナーの感覚や価値観、予防整備に対する考え方で同じ車でも状態が大きく異なります。
どこまで許容するのか、どこまでコストを掛けるのかにより整備内容も大きく異なり、この辺りはオーナーと相談しながら作業を進めていくことになります。
いつも運転しているオーナーが感じられている状況を短時間で感じ取り、どこまでの整備を行うかを判断するのは毎回勉強になりますね。